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【レポート】大北地域ゼロカーボンミーティングを開催しました

2025年12月5日(金)
大町市

6月12日に大町市内のサン・アルプス大町で「大北地域ゼロカーボンミーティング」を開催し、ゼロカーボンに関する北アルプス地域の先進事例と長野県の取組を紹介し、それらを踏まえた意見交換を行いました。

1 先進事例の紹介 「教室の断熱化ワークショップ」
(1) 発表者:白馬高等学校生徒 デイリー 茉莉沙さん、津守 紬希さん、前田 瞬道さん
白馬高等学校において令和2年度から実施している教室の断熱改修について、生徒の皆さんから発表していただきました。
村の1月平均最高気温は1.4℃(冷蔵庫温度2~5℃)であり、ストーブから離れた席では手がかじかんで授業やテストに集中できない環境だったため、生徒発案で教室の断熱改修ワークショップをスタートさせたそうです。
経費は地域からの寄付及び県予算から調達し、施工は地元工務店((株)守破離)の協力を受けており、改修の結果、冬場の壁温度が3.1℃から17.7℃に改善したそうです。
その他、学校行事の一環として、白馬村と同じようなスノーリゾートであるニセコ町にある施設を見学する研修に参加し、北海道の寒さに対応できる断熱設備や熱交換システムを備えた建物を見学する等、改修以外の学びの取組も続けているとのことです。

(2)発表者:株式会社守破離 代表取締役 横山 義彦 氏

続けて、白馬高校の教室断熱改修を支援している村内工務店の代表である横山さんから、実際の作業写真を用いた施工方法と手順の紹介がありました。
2025年度から国の基準が改定され、新築建築物が備えるべき最低断熱等級が引き上げられており、断熱の重要性が社会に浸透した結果ではないかと話されていました。
白馬高校の事例では、生徒の発案だけでなく、そのアイディアに周囲の大人たちが協力した点もまた素晴らしかったと指摘しました。
横山さんは白馬高校から始まって、白馬南小学校や松本県ケ丘高校でも同様の改修に協力しており、引き続き取組を支援していきたいと発表を締めくくりました。

2 県の取組紹介「長野県ゼロカーボン戦略の中間見直しについて」
発表者:長野県ゼロカーボン推進課長 平林 高広

県の取組紹介では、平林ゼロカーボン推進課長から「長野県ゼロカーボン戦略」について説明がありました。
冒頭、長野県のゼロカーボンPR動画を視聴してから、長野県では、2050年度に温室効果ガスの正味排出量ゼロ(2010年度比)を目指す野心的な目標を掲げ、交通、建物、産業、再エネ、吸収・適応、学び・行動の6分野において様々な施策に取組んでいること、2050年度の目標達成に向けては2030年度までの取組が重要になること、そのため2030年度に温室効果ガス正味排出量の6割減(2010年度比)を目指しており、引き続き県民・事業者と一丸になって温室効果ガスの削減に取組んでいくことについて説明しました。
経済規模縮小や人口減少が作用してゼロカーボン達成が可能とイメージされがちですが、そうではなく社会変革や経済発展と共にゼロカーボンを達成し、結果的に長野県の発展と県民生活の質向上の達成も目指しているという説明がありました。

3 意見交換

北アルプス地域での先進事例と県の取組の紹介を踏まえ、後半は「住宅の断熱化」、「EVの普及」、「日常の取組」の3つのテーマに分かれグループ毎に意見交換を行いました。
各テーマについて、「①2030年において達成してほしい社会像(目標)」と「②そのために私達(個人レベルから県全体まで)ができること」についてグループで意見交換し、最後に全体発表を行いました。
発表された主な意見やアイディアは以下のとおりです。

・「住宅の断熱化」(2グループ)
① 2030年の目標
・既存住宅でも断熱の工夫が広く行き渡っている
・スマホアプリで断熱性能が測定でき経済損失金額などが可視化できる技術が確立されてほしい
・公共施設や宿泊施設等エネルギー消費量の多いところから断熱化が進展する

② そのために私達ができること
・断熱新築・改修の省コスト化(学校の改修は補助金制度を導入すればよい。また、民間から融資が借りやすくなる必要がある)
・他都道府県と建物の断熱化率を競い合う仕組みを創設することで展するのではないか

・「EVの普及」(1グループ)
① 2030年の目標
・長野県のEV普及率が全国トップクラスになる
・GSに併設して、充電ステーションが高速道路や街中に多く設置される

② そのために私達ができること
・EVステーションの普及のためにガソリン車の維持コストが高くなる仕組を導入
・個人レベルでできることは少ないと考えるので、EVの性能向上や補助金の拡充が必要(蓄電池付きの家庭用EV充電設備が100万円以内で設置可能になる等)

・「日常の取組」(2グループ)
① 2030年の目標
・ごみの少ない社会の実現
・有機肥料・コンポストが手軽に利用できる
・(ゼロカーボンに関して)社会全体で無理のない取組が行われるようになってほしい

② そのために私達ができること
・プラスチック製品の減量と転換(企業努力、消費者も過剰プラスチック製品を購入しない等)、量り売りやマイボトル、マイ皿の利用
・公共コンポストの設置
・太陽光パネルや断熱DIY、木質ボイラーが一般住宅でも普及
・地場産食材の購入、遠方旅行は公共交通機関を利用、自主的にサマータイム(夏場に1日の活動時間を早めることでエネルギー消費量を抑える)の導入

どのグループでも活発な話し合いが行われました。
ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
今回いただいた意見とアイデアは本年度行われるゼロカーボン戦略の中間見直しに生かして参ります。

【レポート】大北地域ゼロカーボンミーティングを開催しました
開催日 2025年12月5日(金)
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