【レポート】ゼロカーボンと水素が拓く地域の可能性(ゼロカーボンミーティングin南信州)を開催しました
令和7年11月1日(土)「ゼロカーボンミーティングin南信州」を開催しました。
基調講演では、信州大学の宮原大地先生をお迎えし、グリーン水素と地産地消に向けた可能性についてご講演いただきました。
※当日の資料などはこちらからご覧いただけます。本レポートでは、発表スライドを一部引用しています。

ゼロカーボンに向け、化石燃料に代わる手段として注目されているのが水素エネルギーです。
その中でも、長野県が水素に注目すべき理由があります。
日本のエネルギー供給は、沿岸地域からの輸送に大きく依存しているため、内陸部では災害時に供給網が寸断されるリスクが高いといえます。
一方、グリーン水素は地域内でオンサイト生産が可能であり、さらに貯蔵できるため、平時にも災害時にも利用できる安全保障上の利点を備えています。
加えて、水素は燃焼してもCO2を排出せず、環境にやさしいエネルギーです。

しかし、従来の水素製造には課題があります。
化石燃料を使って製造するグレー水素に比べて、グリーン水素は、コストが高いです。
そこで信州大学が取り組んでいるのが、光触媒による水素製造です。
光触媒によって太陽の光と水だけで水素をつくれる仕組みで、電気分解を伴わないため、理論的には低コストで生産が可能になります。
2026~2027年には、飯田市のエス・バードに、3000㎡の光触媒パネル設置を予定しています。

この研究が進めば、南信州は水素の地産地消地点、そして新たな産業の発信地になるかもしれません。
続く、パネルディスカッションでは、宮原先生に加え、
・企業の立場から・・・熊谷 弘 氏(株式会社リックス代表取締役)
・行政の立場から・・・下井 善彦 氏(飯田市ゼロカーボンシティ担当賛参事)
・教育の立場から・・・三浦 宏子 氏(南信州飯田おもしろ科学工房代表)
の3名にご登壇いただきました。
それぞれのゼロカーボンに関する事例発表の後、宮原先生の問いかけに対して、各々の立場から意見が交わされ、活発な議論が展開されました。
今回は、そのやりとりをご紹介します。

①宮原先生「グリーンエネルギーや環境に対する意識醸成について、どういったことに取り組んでいけばよいか?」
企業の視点(リックス代表・熊谷さん)
「再生可能エネルギーの導入、省エネの推進に力を入れたい。特に太陽光発電や蓄電池の普及を進めたい。南信州は人のつながりが強いので、結プロジェクトは大きな可能性がある。今後は子どもたちが体験できるソフト事業も進めたい。」
※結プロジェクト…公共施設などの屋根に太陽光発電システムを設置し、売電の一部を還元して地域活性化を図る取り組み
教育の視点(おもしろ科学工房代表・三浦さん)
「学校で授業をやってみると、子どもたちは『CO₂』や『温暖化』という言葉は知っていても、意味は理解していないことが多い。実験や体験を通じて理解を深め、家庭で話し合うことが大切だと思う。中学・高校の探究学習を活用するのも有効では。」
行政の視点(飯田市・下井さん)
「市民への働きかけが重要。啓発や学習の機会を提供し、環境問題を『じぶんごと』として捉えてもらうことが必要。現在、うごくる。でそういった機会を提供している。また、企業や市民にCO₂の見える化を進め、現状をしっかり理解していただきたい。」
※うごくる。…「うご」くことで素敵な未来が「くる。」という想いを込めたプラットフォーム
「うごくる。」に関する取組・イベント等の情報は下記サイトから
https://www.city.iida.lg.jp/site/2050iida-zcc/
② 宮原先生「水素の地域での可能性と普及戦略について、どのように考えているか?」
企業の視点(リックス代表・熊谷さん)
「水素は安定したエネルギーで、グリーン水素に期待している。企業としては、家電などアウトプットの実装を進める必要がある。H₂ハウスのような取り組みもあり、企業一丸となって水素に挑戦したい。」
行政の視点(飯田市・下井さん)
「水素ビジョンの構築を進めたい。水素ステーションのような供給システムは不可欠。産業界や経済界と連携し、研究を進めたい。」
教育の視点(おもしろ科学工房代表・三浦さん)
「子どもたちに水素を知ってもらう取り組みが必要。また、『飯田は水素ができるまち』という夢や誇りを持ってもらえるように、飯田がすばらしいところなんだということを伝えていきたい。」

最後に、宮原先生はこう語りました。
「環境が文化になる、環境文化都市をみんなで盛り上げていきたい。」
飯田市は環境文化都市として、ゼロカーボンの普及を進めています。
企業・行政・教育が一体となり、グリーン水素をはじめとしたゼロカーボンの普及を進めることが欠かせません。
私たち一人ひとりの行動が、環境を文化に変える力になります。
一緒に、地域の力で未来を創っていきましょう。
