【レポート】いっしょにゼロカーボン!できることを見つけよう〈ゼロカーボンミーティングin長野〉
令和5年12月3日、県立長野図書館3階「信州・学び創造ラボ」でゼロカーボンミーティングin長野を開催しました。
第1部では、信州大学人文学部 茅野恒秀准教授をお招きし、「長野県のめざす2050ゼロカーボンと私たちのくらし」と題した基調講演を行いました。茅野先生には、地球温暖化やゼロカーボンの基本的な解説から、長野県の課題とこれから目指すべき姿まで、身近な話題を織り交ぜながら、分かりやすくお話いただきました。
第2部は、長野地域で活動する6組8名による事例発表。実にさまざまなゼロカーボンへのアプローチの方法が発表されました。
戸倉上山田商工会の大槻亮輔さんは、「会社が環境対策に取り組むことが企業価値向上につながる」と考え、商工会で地域創生と組み合わせたゼロカーボンの推進に取り組んでいます。
発表では、会員企業が技術を持ち寄ってEVを製作する取組や、事業者のCO2排出量の見える化の取組などを紹介してくださいました。
長野市新産業創造推進局の村上文香さんは、スーパーフードと言われるソルガムが、食糧としてだけでなくバイオマス資源としてエネルギー活用できることを発表くださいました。
信州産ソルガムをみんなで食べて活用を進めることが、耕作放棄地の解消や地域活性化、そしてゼロカーボンにつながるということです。
飯綱町在住の遠山健幸さんは、雪が1m以上積もることがある飯綱町で、ご自宅の屋根上に太陽光パネルを設置し、野菜作りや有害鳥獣駆除の活動をしながら暮らしています。
太陽光パネルの設置や雪下ろしの工夫、鳥獣害対策の視点での食べ物の地産地消について、自らの体験を紹介してくださいました。
NPO法人まめってぇ鬼無里の小田切奈々子さんは、豪雪地域である鬼無里で、地域の人たちと太陽光発電所を手作りしたり、薪ステーションを立ち上げたりするなど、エネルギーの地産地消に取り組んでいます。
50年前の暮らしをヒントにして、昔ながらの暮らしを次世代に残していくことが、ゼロカーボンの地域をつくることにつながるのではないか、と話されていました。
小布施町地域おこし協力隊の古木里菜さんと西野竜介さんは、県外から小布施町に移住して、ごみを出さない「ゼロ・ウェイスト」の町づくりに取り組んでいます。
飲食店から回収した生ごみをたい肥化したり、農家から回収した剪定枝や栗いがをバイオ炭化して活用する資源循環の取組を紹介してくださいました。
岡学園トータルデザインアカデミー ファッションクリエーターコース2年の高橋莉玖さんと渡邊なの子さんからは、不用になった衣料品や布製品をアップサイクルして長く使う取組や、植物由来の原料で作るファッションについての発表がありました。
自身でリメイクしたジャケットやTシャツを披露して、「リメイクは家にあるもので誰でも簡単にできるので、気軽に試して、みんなでファッションを楽しんでほしい。」と呼び掛けていただきました。
第3部は、茅野先生をコーディネーターとして、事例発表者8名によるパネルディスカッション。
「長野地域で活動する利点や課題」の話題では、
・市町村のアイデンティティがはっきりしていて、自分たちの地域に興味を持ちやすいのが特長だと思う。この地域だからこそできそうなことがある。
・自然に合わせて生活のリズムをつくるのが、良さでもあり、苦労する点。
・地域ならではのこだわりや、仕組みの古さもあるので、若い人が入っていきやすいように変えていくことが必要だと思う。
といった意見がありました。
また、「長野地域で多くの人を巻き込んでゼロカーボンを進めていくためにはどうしたらよいか?」というテーマでは、
・若者や学生が大きな取組にも気軽に参加できるような機会を作ってほしい。また、その情報を届ける工夫が必要。
・“ここでしかできない暮らし”にこだわりながら、一人ひとりが自分の生活を組み立てていく中に、自分ができるゼロカーボンの取組を組み込んでいくことが大事。
といった声も上がりました。
参加者からは、
・事例発表で鳥獣害対策の話題があったが、食肉利用した後の皮革まで利用すれば、ファッションの取組にもつながるのでは?
・シニアでも太陽光パネルの設置に興味がある人はたくさんいるが、パネルを設置したくても、その家を継いでくれる人がいない。住宅政策、まちづくりや福祉にもゼロカーボンを組み込んで考えていくことが必要。
といったアイデアや意見が寄せられ、10代から70代まで、幅広い世代が盛り上がりました。
会場には事例発表で登場した「バイオ炭」や「アップサイクル製品」などが展示され、発表者に個別に質問する方もたくさんいました。また、「ソルガム」の子実から作られたクッキー、パン、お茶の提供があり、持参したマイボトルでお茶を楽しむ方の姿も見受けられました。
ゼロカーボンミーティングが、”自分にもできること”を考えるきっかけになったのではないかと思います。